早いもので2025年も1カ月がすぎ、今年も残り11カ月ですね。え、まだそんなこと言う時期じゃない?そうですか?そうですよね…
はい。目指せ宴会部長、情熱推進部ゲームデザイン課の浅倉です。
ロジカルビートの新しい部として立ち上がった情熱推進部は、ロジカルビートのキャッチフレーズ「実装力とアイディアの融合」をコンテンツ側から追及する新しい部署です。
新しいことにどんどん挑戦したい!
とは言いつつ、今まで自分たちがやってきたことに目を向けるのも大切ですよね。
改めて、ロジカルビートのゲームデザイン課ではどんな仕事をしているのか。
この場を借りて、簡単に説明したいと思います。
【移植やリマスターにおけるゲームデザイナー】
ロジカルビートでは、ゲームの移植、リマスターのご依頼を多くいただいてきました。
そして、現在も多くのお話をいただいている状態です(本当にありがとうございます)
移植やリマスターは、当然ですが、すでにゲームとして完成して世の中に出ている作品です。
追加コンテンツなどがなければ、ゲームデザイナーが手を動かすことはない。そう思われている方も多いかもしれません。
ですが、すでに完成されているコンテンツ、ファンがいるコンテンツだからこそ、現代に合わせてチューニングをしないと期待に添えない場合もあるでしょう。
ロジカルビートでは、ゲームデザイナーが昔のファンや、現代にこのゲームを好きになってもらえる新しいファンに向けてどうするべきかを、日々、考えています。
今回は1つの事例として、実際に対応した内容をお伝えできたらと思います。
【現代に合わせた新規仕様】
その1 説明書対応(ヘルプ)
最初に紹介したいのは説明書対応です。意外かもしれませんが、ゲームデザイナーが一番時間を使う作業といっても過言ではないと考えています。
チュートリアルを作ることに似ている、といえば、大変さが少しは伝わるでしょうか。
原作がいつの時代の作品なのかにはよりますが、説明書対応は必ずやらなければいけないことです。
まず、紙として出力することはないでしょう。元の説明書を画像にしてゲーム内で確認できるようにする方法もありますが、現代のゲームの説明としては適切ではないように思います。
現代のユーザーにもあった形。それは、画像や動画を使用してゲーム内で確認できるようにするものです。メインメニューから確認する方法や、ゲームの進行に合わせてTipsを入れる対応もよく見かけます。
それだけならシンプルですが、この話はそう単純ではありません。
現在は、マルチプラットフォーム対応も多いですし、グローバルリリースを見越した多言語対応も多いです。つまり、上記で使用する画像や動画も、言語やプラットフォームに合わせて用意する必要があるのです。
パッケージでゲームを販売する場合はゲームカードの容量なども関係してきます。適切な内容、動画、画像を用意しなければ、容量が異常に増えるなんてことも考えられるわけです。
その2 キーアサイン
二つ目はキーアサインです。当時のコントローラーと現在のコントローラーではボタンの数が違います。作品によってはコントローラーの形状も違うため、快適にプレイするための最適なボタン配列がどれかを検討する必要があります。
また、現在はマルチプラットフォーム対応がマストとなります。そうなると、プラットフォームによってはAとB、〇と✕の場所が違うため、それらの処理を行う必要もあり、キーアサインもそのまま移植というわけにはいかなくなります。
何より、コントローラーは、プレイヤーがゲーム世界にアクセスするためのデバイスであるので、そのボタン、操作方法に納得感や意味を持たせたいと私は考えています。が、ここは人それぞれの考え方で変わる部分かなという印象です。
個人的には最後まで検討を重ねる場所だと思っています。
その3 画面解像度とフレームレート
3つ目は画面解像度とフレームレートです。そして、ここが非常に厄介なポイントだと考えています。
移植やリマスターは、新規にリソースやコンテンツを作ることはしないと考えています。その場合、元が4:3の画面比率であるゲームを16:9で作ろうとすると、引き伸ばすか、レターボックスとして両サイドに絵を入れるか、元の画像を作り直すしか対応が出来ません。
作り直し対応ができるのであればベストです。予算の問題なら場合によっては可能ですが、そもそも原作を作った人がもういない、この部分の意図や造形がわからないことも。
その場合は作り直してもオリジナルとは言えず、原作ファンを裏切ってしまうケースにもなりかねません。
これらの対応方針もゲームデザイナーが考えるところだと考えています。特に作り直しを行う場合、どのような形で原作の体験を再現するのかは開発チーム内の連携が重要となるポイントだと感じています。
【仕様を決めるときの考え方】
移植やリマスターは100点があるゲームです。原作がどんな評価であれ、完成されているという基準があります。ですが、原作当時の100点は、今にとって100点なのでしょうか?
画面解像度は適切?フレームレートは?プラットフォームは?対応言語は?なにより、それらを対応したときに原作の面白さを損なってない?
リメイクであれば、新規機能、新規コンテンツなどで面白さの強化することが出来ます。原作と比べて劣化した部分があったとしても、新規システムで挽回するという、面白さのトレードオフを行うことができます。
移植、リマスターは、そういったことが出来ません。現代に合わせたチューニング行った結果、ロード時間や操作感が原作と比べて劣ってしまった場合、そのネガティブな部分がその作品の評価になりがちです。
いかに減点しないで原作の良さを再現できているかが大切なのです。
【良い移植、リマスターにするために】
表題に対する回答として、移植、リマスターの開発において、ゲームデザイナーは必要だと考えています。
基礎的な考えですが、移植、リマスターを作るのであれば、原作をプレイしてゲームを理解する必要があります。加えて、近年に発売された移植、リマスター作品をプレイしておくのも必須です。
それはチーム全体、かかわるスタッフ全員にお願いしたい事ですが、ゲームデザイナーはもう一歩踏み込んで見極めてほしいものがあります。
それは、これから作る作品が移植なのか、リマスターなのか、リメイクなのかを理解しておくことです。
現在販売されている移植、リマスター作品は、移植と書いてあるけどリマスターの作品もあれば、リメイクと言っているけど移植の作品もあります。
一般的に明確な分類はされていないと思うのですが、個人的には下記で分類しています。
- 移植
原作の忠実な再現。追加コンテンツ無し。
- リマスター
高解像度化、原作に対して高フレームレート化、基本は追加コンテンツ無し。
- リメイク
高解像度化、原作に対して高フレームレート化、ゲームシステムの変更あり、コンテンツの変更あり。
「あの作品ではこうだった」「こっちの作品ではこうだった」
仕様を決めるとき、必ず既存作品を例に意見が出るでしょう。もしくは、そういったオーダーをもらうかもしれません。
この時、その意見が適切なのかを判断し、必要であれば協議を行う。
移植やリマスターにかかわるゲームデザイナーにはその判断ができるようになってほしいなと思います。少なくとも、ロジカルビートのゲームデザイナーにはそれができるようにと考えています。
過去の名作を現代によみがえらせる移植やリマスター。
名作と呼ばれる作品を、現行機種で遊べることをユーザーは求めていると感じています。
そんなユーザーの期待にどうやったら答えられるのか、感動を与えられるのか。喜ばれるためにはどんなことが必要なのか。
日々、しっかり分析して言語化しておくことで、いざその機会が巡ってきたときに良い移植、良いリマスターを作れるゲームデザイナーになると感じる次第です。
※余談
ゲームデザイナーに求められる能力も移植やリマスターとは少し違ったものとなるので、今回、リメイクのことはあまり紹介していません。
それは、リメイクは再構築であり、プログラム的には新規に作品を作るのとあまり変わらないためです(リマスターでもプログラム的に新規で作る感じになるものもありますが)
リメイクの手法に関しては、それはまた別の機会にお話しできたらと思います。
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